※1アーティスト1曲を基本として、2021年12月~2022年11月リリースの楽曲から選定しました。
- 八月のスーベニア / 水瀬いのり
- ノスタルジックに夏めいて / 逢田梨香子
- 未だ、青い / 湊あくあ
- 花冷列車 / 三月のパンタシア
- 箱庭の幸福 / 田所あずさ
- 純情革命 / AiRBLUE Flower
- 祝福 / YOASOBI
- ビタミンSUMMER! / Liella!
- 花の塔 / さユり
- 人なんだ / Suara
八月のスーベニア / 水瀬いのり
作詞・作曲・編曲:藤永龍太郎(Elements Garden)
水瀬いのり 4thアルバム「glow」収録
2022.7.20 Release
交わした言葉でジニアが揺れている また来年もここに来よう
コロナの流行も落ち着きを見せ、およそ2年ぶりにライブ目的で県外へ出かけるきっかけとなったInori Minase LIVE TOUR 2022 glow 愛知公演。
9曲目の「夏の約束」が終わった後、間髪を入れず流れてきた10曲目「八月のスーベニア」のイントロ。私の膝を折るには十分すぎる流れだった。
キラキラとした夏の出会いやトキメキを歌う夏の約束に対して、もう会えない"君"を夏の情景に重ねつつ、その切なさを歌い上げる八月のスーベニア。
このセトリが本当にヤバい2022大賞受賞おめでとうございます。
曲中に登場するジニア(百日草)の花言葉は「不在の友を想う」であり、歌詞のあちこちでかつて同じ夏を過ごした"君"の存在が伺える。
歌詞のみならず、作曲と編曲を手掛けた藤永龍太郎氏は「三月と群青」も提供しているが、蓋を開けてみれば同曲のファンを裏切らない仕上がりの1曲となった。
ノスタルジックに夏めいて / 逢田梨香子
2022. 8.9 Release
終わってく夏背を向け 変わらないものなんてないと わかってるんだ
この曲との出会いは、音楽サブスクサービスApple Musicのプレイリスト「New Music Mix」から。サブスクの利用傾向をもとに、毎週新曲をサジェストしてくれる便利なサービスだ。
曲名の通りノスタルジックな曲調に合わせて切ない夏を歌い上げ……と書いたところで賢明な諸兄はお気づきかも知れないが、すでに紹介した「八月のスーベニア」と似通うテイストがある。夏の終わりの曲が耳に残るのは「マリンブルーに沿って」以降、変わらないらしい。
未だ、青い / 湊あくあ
作詞・作曲・編曲:じん
恋愛ADV「あくありうむ。」OP
2022. 8.9 Release
明日はもっと君のそばへ 前へそう前へ 少しずつ 進んでいく
ついに実現してしまった湊あくあ×じんの組み合わせ。
好きなボーカルに好きなコンポーザーが曲を提供する時ほどオタクをやっていてよかったということもない。
「#あくあ色ぱれっと」や「海想列車」と並び、今年も忘れられない曲がライブラリに加わった。
花冷列車 / 三月のパンタシア
作詞:みあ 作曲:の子 編曲:石倉誉之
三月のパンタシア 4thアルバム「邂逅少女」収録
2022.1.29 Release
醒めないで 醒めないで ずっと春の中 あいまいな今にしがみついてたい
最近はアニメのタイアップも続き、それなりに曲数も出しているもののわずかに自分の琴線に触れなかった三月のパンタシアだが、今年は抜群の曲をリリースしてくれた。
神聖かまってちゃんのの子氏が作曲を手掛け、アレンジは「醒めないで、青春」でも知られる石倉誉之氏が担当。
春の終わりとはじまりの物語を唄う歌詞に、爽快感のあるメロディが駆け抜ける。
8月にはTHE FIRST TAKEバージョンの音源も公開され、ギターとピアノによる爽やかなアレンジが楽しめる。*1
箱庭の幸福 / 田所あずさ
作詞:大木貢祐 作曲・編曲:神田ジョン
TVアニメ「リアデイルの大地にて」ED
2022.1.5 Release
つま先だちの明日はきれい 手にしたなら儚い
様々な楽器を重ねて重厚なサウンドを奏でる足し算の曲があるとすれば、箱庭の幸福は必要な音だけを残した引き算の曲、そんな印象を受けた。
ボーカル+αの最低限のサウンドでも聞き手を楽しませる工夫がなされている。
昨年の10選に加えた「OVERFLOW/一柳隊」も同じく神田ジョン氏の手掛けた曲だが、あちらはボーカルの掛け合いの構成が緻密で素晴らしかったし、毎年異なる切り口で印象に残る曲を生み出している。
純情革命 / AiRBLUE Flower
作詞:稲葉エミ 作曲・編曲:eba
CUE! Limited Mini Album「花鳥風月」収録
2022.11.16 Release
風吹け 乱反射の水面から 散り散りに漕ぎ出した 花びらの舟
初めて聞く曲にも関わらず「イントロ10秒でビビッと来て、そのまま再生していたら好きになってしまった」……なんて経験はないだろうか?
まさしくその体験をさせてくれたのがこの「純情革命」である。
元々コンテンツに詳しいわけではなく、「さよならレディーメイド」「マイサスティナー」等数曲が印象に残っていた程度。
チーム別の曲まではリサーチが及んでいなかったが、サブスクを活用してあれこれ掘ってみたいと思わせる曲が登場した。
祝福 / YOASOBI
作詞・作曲・編曲:Ayase
TVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」
2022.11.9 Release
逃げずに進んだことできっと 掴めるものが沢山あるよ
楽曲は同作品の脚本・シリーズ構成を手掛ける大河内一楼氏の小説「ゆりかごの星」*2を元に制作されているため、こちらを一読しておくことでさらに理解を深める助けになる。本編でまだ描写のない"エアリアル"の視点で書かれており、さっと歌詞を眺めただけではわからなかった意図が段々と見えてくる。
スレミオはもう約束されている……はずなので、後はグエルには幸せになってほしい。
ビタミンSUMMER! / Liella!
作詞:宮嶋淳子 作曲・編曲:ヒゲドライバー
TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第6話挿入歌
2022.09.21 Release
同アーティストからは昨年「Day1」をチョイスしたが、今年から新たに9人体制となり、楽曲における表現の幅も広がった。
第2期6話で新メンバー鬼塚夏美が新たに加入し、彼女がセンターを務めた「ビタミンSUMMER!」はその象徴とも言えよう。
公式からダンス練習動画*3が公開されており、詳細な振り付けまで確認できる。
Bメロ入りのクラップは楽しさは格別であり、是非チェックしてほしいシーンだ。
花の塔 / さユり
TVアニメ「リコリス・リコイル」ED
2022.7.3 Release
君が持ってきた漫画 くれた知らない名前のお花
2022年のアニメシーンを語るにあたり、外せない1本がある。TVアニメオリジナル作品「リコリス・リコイル」である。
犯罪を未然に防ぐ秘密組織の支部で、喫茶リコリコの店員として働く2人の少女が様々な事件に立ち向かう姿と日常を描いたアニメ……と書くとありがちな設定だが、TLを眺めていても非常に評判が高かった。なにせ出てくる女の子が可愛い。
また、軽快なテンポで進む1話完結のエピソードが続く前半は見やすく、特にエンディングを迎えた時に流れ出す花の塔のイントロ「テテッ テテッ テテッ……」の爽快感は抜群だった。
再生開始10~20秒が勝負とも言われるサブスク全盛期の時代においても、この耳に残りやすいイントロは大きな武器と言える。
人なんだ / Suara
TVアニメ「うたわれるもの 二人の白皇」OP
2022.7.27 Release
人だから 誰かに託せばいい その軌跡は きっと継る
花の塔が特徴的なイントロを武器にしたように、この曲も頭から「人なんだ 悩むだろ」と力強いフレーズをぶつけてくる。
初代、偽りの仮面から続くTVアニメ「うたわれるもの」シリーズを締めくくるにふさわしい1曲。筆者も全28話をほぼリアルタイム視聴していたが、毎週聞いても飽きることのない魅力があった。
曲中にも登場する「託す」「託される」ことの大切さがわかった時、この曲の良さが再確認できる。
以下、惜しくも選外となった曲も載せておく。
今年も数多の素晴らしい作品たちに出会えた年だった。
来年も良い曲に巡り会えますように。